現代日本における呪術とその意味

一般には「呪術」というと何とも古めかしく、古俗因習の遺物という響きさえある。野蛮な原始部族が信奉したり、古代日本に行なわれていたらしい、オドロオドロシイものというイメージ。また、「呪」という字からも想像できるが、人を呪ったりする黒魔術とい…

日本における「ケガレ」という差別

▼ケガレという差別 日本は差別社会である。いきなり大変なことを言い出したが、そう言わざるを得ない。そろそろ年賀状を書く季節であるが、もし身内に死者が出たら、私たちは「喪中欠礼」を出し、ともに年賀を祝うことを慎む。これは何か。死を死者個人に留…

「清め塩」と人間文化の成立

先日の朝日新聞(注)にもこれに関する記事が掲載されていたが、そこここでいま葬儀会葬者への清め塩の配付が問題になっている。曰く、「死は穢れたものでこれを清めなければならないとするのは、ただの迷信や習慣であり、このような世間体を気にする行動が…

日本人の魂の極楽

▼序 「知らぬが仏」とはよく言ったものだ。安眠をむさぼっていた日本思想は、仏教思想によってたたき起こされて以来、長らく自信を失っていた。しかしその後、日本思想は当の仏教思想を摂取し続けることによって、ついに日本人の魂の極楽を見つけたのである…

大魔神・ウルトラマン・仮面ライダーにおける「カミ」の三変態

私に言わせれば、ウルトラマンも大魔神も仮面ライダーも「カミ」である。カミとは日本人が特別な存在とみなすものを指すが、カミにもいろいろなものがある。特定の山、特定の川、特定の石、特定の木、特定の気象現象(雷など)、特定の天体(北斗七星など)…

宗教以前の宗教--日本の祭りのために

宗教(religion)とは、後世の概念である。人々がそれまで意識せず連綿と過ごして来た「宗教」的な生活を脱したあと、ようやく生み出された概念だ。それまでの無意識の「宗教」的生活とは、エリアーデの言う永遠回帰する霊的な生活のことである。 その宗教以…